ウェス・アンダーソン監督作品、
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」をご紹介致します。

個人的には生涯ベスト級の作品。
ウェスの作品で日本公開された初めての作品です。
全米有力メディアがこぞってこの作品を、
「2001年ベストムービー」に選出しており、
ゴールデングローブ賞・最優秀男優賞をジーンハックマンが受賞。
アカデミー賞「脚本賞」にもノミネートされました。
《あらすじ》
この作品は架空の小説の映画化という設定。
かつては“天才ファミリー”として脚光を浴びたテネンバウム家。
世界で一番自分勝手な父親ロイヤルの過ちと裏切りによって、
3人の(元)天才児たちはトラブルだらけの大人に成長し、
一家は離散状態に。
だが「もう永くない」という父親の一言で、
家族は(渋々ながら)22年ぶりに一つ屋根の下に再会する。
愛情的には絶体絶命。
果たして彼らに心の絆が芽生えるチャンスはあるのだろうか・・。
おかしくも痛烈にして愛に満ちた家族の物語。
まずは俳優陣。
ハリウッドの豪華キャストが結集しております。↓

ジーン・ハックマン
アンジェリカ・ヒューストン
ダニー・グローヴァー
ベン・スティラー
グウィネス・パルトロー
ビル・マーレイ
オーウェン・ウィルソン
ルーク・ウィルソン
シーモア・カッセル
アレック・ボールドウィン(ナレーション)
アンジェリカ・ヒューストン演じるエセル・テネンバウムは、
ウェス監督のお母さんがモデル。
考古学者という職業から、掛けている眼鏡までそっくりです。

そしてリッチーの子供時代を演じるアマデオ君は、
あのジョン・タトゥーロの息子さんです!かわいい!
■ウェス・アンダーソンについて。

この作品で彼のスタイルは完全に確立され、
以降の作品に顕著な作家性の要素が引き継がれています。
中でも特に以下のような特徴が挙げられます。↓
:絵本のようなストーリーテリング。
:平面的でグラフィカルな構図と緻密なレイアウト。
:長回し横スクロールの一斉演技シーン。
:登場人物全員の過剰にシュッと決まった70年代風衣装。
:毎回必ず出てくるビル・マーレイ。
:監督の弟のエリック・アンダーソンのアートワークが随所に登場。
:望遠フルショットからバストアップまで一気にズームする力技ショット。
:主要人物がBGMに合わせて、
スローモションでカメラに向かって歩いてくるショット。
また、
父親と息子の関係を描いた作品が多いのもウェス作品の特徴です。
いつも見かけるあの大物俳優が、ウェスの作品に出ると
いつもと違うタイプの登場人物として、いつもと違う表情を見せてくれる。
そんな奇妙な「お約束」が始まったのも、この作品からでした。
ウェス監督はとにかく几帳面な事で有名で、映画を撮る際は、
いつもハッキリと明確なビジョンを持っており、
毎回俳優に細かく指導していきます。
彼の下準備っぷりは半端じゃなく、撮影に入る前から、
シーン毎に流れる曲まで把握しているそうです。
毎回バックに流れる音楽がいちいち秀逸で、
独特の世界観・空気感を作っているなぁー。と思ったら、
なんと音楽担当はDEVOのフロントマン、マークマザーズボー。
彼はウェス監督の前後の作品でも、音楽を担当しています。
DVDのコメンタリーでウェス監督自身が、
この作品の内容を要約しています。↓
「成功の長い余波の中で、彼らもまた生きている。
プレッシャーも大きい。彼らは皆、芸術家といえるだろう。
一時期に明確な目標を持っていた。
そしてその達成のために、自分を追い込むように努力を続けた。
でも気がつくと、才能は消えていて、
あとに残ったのは家族だけだった。」
深い!まさにこの通りの映画です。
広く皆様にオススメしたい。
伊丹十三作品のテイストが好きな方、
ウェス・アンダーソン作品に免疫がある方、
家族もの・シニカルコメディが好きな方には、
特にオススメです!
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ 予告編↓
[1回]
PR
COMMENT